@歯列矯正―抜歯2@
心の中で慌てるも、ふと考えた。 |
待てよ、この左側の歯って下とカチ当たる歯じゃないのさ。 |
だったらこれが無くなれば奥歯が噛み合って楽になるんじゃない。 |
おお、それはよろし。 |
速攻で見放される左の歯の怨嗟の声が聞えてくるよう。 |
念のためのレントゲンを撮り終わったすぐ後に麻酔。 |
あの麻酔の注射ってなぜにああ不気味なのだろう。 |
よーく観察してしまったがメタルの本体なのね・・・。 |
本体のところに麻酔薬のカートリッジをはめ込むのか・・・。 |
でもって針が異常に長い。どこまで刺すつもりなのだろうか。 |
トンネルじゃあるまいし、貫通させるつもりもないだろうに。 |
いつもの如く1人でベラベラしゃべっていたかと思うと突然 |
台上の私に『どう?今からでも遅くない、止める気ない?』と歯科医。 |
まだシブっているようである。『あー、ゆぅ、しゅぁ?』と止めを刺そうとする。 |
いやぁ、ここは一つ掛かりつけとして私の矯正を祝ってブッスリと麻酔 |
お願いしますよぉ、先生。 |
またまた1人でベッラベラしゃべり始め、赤い麻酔液のついた綿棒を上にチョイ |
チョイ、そしてその後下の歯茎と唇の間に挟んで放置。 |
悪夢は早くもやってきた・・・・・チョー痛いの、それが!沁みるぞぉぉぉぉ! |
思わず綿棒に手をやろうとする隙に上に麻酔の注射が・・・。 |
『ほーい、ちょっとチックリするよぉぉぉ』と言い放ちながら歯科医、 |
ブス・ブス・ブスと連続で刺しまくってくださる。いででで・・一体何回刺すつもりっすか!? |
そしては、極めつけ『お〜、これはちょっとイヤかもよ』と上アゴに向かって超ブスリ・・・・。 |
イヤかもよ、ってあーた。。。両足上がりましたがな、数センチ。 |
『うごぉぉ』言うてしまいました。不覚にもすでに涙目よ、涙目。顔笑ってたと思う、でも。 |
そしてすかさず下へ。ブスブスブスと女の私には声に出して言ってもらいたくない |
超早業で麻酔針は下あごを攻撃。舌の根元にまで蜂の一刺しですわ。 |
そこさ、綿棒やってなかったよね?たしか?うっげぇぇぇぇ。 |
ブスリとお願いしますよ、がいいもんである。 |
掛けさせられたドデカいメガネが脂汗の蒸気で曇ってたって。 |
しかし麻酔に反して抜歯自体はあっけなかった。 |
歯科医:『もー、こんな抜きにくいところばっかり選ぶんだからねー。隣の歯にダメージ |
与えないようにするの大変じゃんか』 |
矯正医:『しょうがないじゃん、だってそれが一番な方法なんだから〇〇さんには』 |
歯科医:『ワザと選んでるな、抜きにくいとこ、よっしゃぁ、一本上がり』 |
歯科医:『ほい、下もあがり』 |
やはり腕はいい。多子産の帝王切開時の医師のように『ほい、ほい』と赤子をとりあげるように |
次々に歯を抜いては助手のおばちゃんに渡していく。両隣の歯も全く無事。 |
痛みは麻酔が効いていたので全く無し。ギシギシという音がしたくらいか。 |
上の歯は混み合い、他の歯と入りこんでいたのでちょっと削って抜き取った。 |
それより麻酔の注射の方がよっぽど痛かったわよ。綿棒麻酔ぜんぜん効いてなかった? |
まあ打ちまくったお陰か麻酔がよーく効いて鼻呼吸ができてるのかどうかよくわからん。 |
顔面下半分全然感覚無いので、一体どうやって顔のお肉をしっかり骨につけておくのか |
全然わからない。ダーレーと顔が下へ下へと流れていくような気がしてならない。 |
歯科医のパフォーマンスの後は矯正医の登場。 |
20分くらいかかって下の歯の骨移植(?)を施してくれた。 |
歯科医の助手のおばちゃんを『お借りするよ〜』で始まったのだが、オゲ?それ、メス・・・ですか? |
その助手のおばちゃんとの会話がすごい。 |
矯正医 『ほーれ・・・、ここをめくってちょっと薄くしてね、こっちまで伸ばしてもってくるノ』 |
助手 『はは〜、それで歯を移動しやすくするためですか。ドンドン溢れてますね〜(血!)、拭きましょう。』 |
矯正医 『いや、これは単にね・・・・うーん・・・すぐ真っ赤に染まっちゃって見えにくいなぁ』 |
助手 『それが骨ですか?』 |
矯正医 『そうそう、この顆粒をね、こうやって少々血で練って・・・・』 |
け・・・けだものぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!。梅図ですわよ、漂流教室。サイテーな職業じゃないスか? |
ま、その間私はというと、歯を抜く前から打ってあった麻酔が切れるのではないかと |
気が気ではなかったのでございます。最初に抜いた抜歯跡がうずいてきてるのよぉぉぉぉぉ。 |
途中、麻酔を少々足してもらいながら術式は終了した。 |
お口の周りに乾いた血をこびりつかせながら奴が以前すでに同じ歯科医から処方してもらっていた |
スーパー痛み止めの残りを服用するために家路をぶっ飛ばす私でありました。 |
家に着き鎮痛剤を服み、それが効いてくるまで押し寄せてくる痛みを覚えながらも、 |
気分はやけに爽快。なにせこれから30年近く歪んだものを元に戻す仕事にとりかかるのだ。 |
すでに無い奥に引っ込んでいた前歯も下にカチ当たらなくてなんとも気分がいい。 |
麻酔の残りで顔はダルダルだし、なにをやる気もないのでお昼は次女とカップラーメン。 |
その煮えたぎったカップごと取り落としてしまう私。効いてきたらしい、鎮痛剤。デーレーェェ・・・。 |
スゴイ効き目。うーれーしー・・・の世界。法律スレスレで楽しんでます。 |
さーて、下の歯茎の手術の抜糸が今度の月曜。 |
その日にもしかしたら、装置が入るかもしれない、ってはやくやってくれないと |
歯がないんだから、困っちゃうんですけどねーぇ。マジばばあ・・・。 |
とはいってもなにもしないわけには行かない。この木曜にほぼ全敷地の芝刈りをした私。 |
しかし、こんなに颯爽と芝刈る歯抜け野郎はまずいまい。 |
そして土曜の今日、遂に歯抜けのまま長女の体操教室の初レッスンの門を叩く私である。 |
我ながらエグい思います、この絵ぇ。
鏡でみるとこうなるからこれも右左逆になってますね、ハイ。
『ラマになった王様』のイズマです、まるで。