アメリカよ
―対米同時多発テロ事件―

 

 

画面の向こうには人々の姿-家族、親類縁者、友人の安否の確認を求める

数え切れない人々の姿がある。なにかに執り付かれたように歩きつづけ、カメラに

向かってそれぞれ呼びかけている。

『〇〇が〇〇階にいました』

という冒頭で始まる呼びかけの数々。

そこには疲れ切った悲しい表情。その顔の下には胸まで掲げられた写真達の数々。

写真の中の安否の知れぬ人々のどれもが残され捜し求める人々を慰めるように幸せそうに、

自信に満ちて笑っている。

彼等は皆一様に笑っている。立派に生きてきたのである。

立派な父親達、優しい母親達、可愛い恋人達、何事があってもビクとも

しそうにない強靭な体躯の男性達、妹や弟達、我が子、従兄弟や叔父叔母達、

一番乗りで救出に駆けつけていた消防隊員、警察官達、Many,too many more…

みんな、みんな逝ってしまったのだろうか。誰でもいい、出てきてはくれないだろうか。

燃え盛るビルの窓から身を乗り出し助けを求めていた人達。

目も眩むような高さから我が身を投じ死んでいかなければならなかった。

手を握り合い飛び降りる男女があったという

一体なにをしたというのだろうか  何度も言う、彼等は皆それまで立派に生きてきたのだ。

そしてこれからも自信に溢れて生きていくはずだったのである。

死にたくなかった沢山の人達を連れてそびえ立つ双子のタワーは冷たくも崩れ落ちた.

無念である。

 

後に残された国民同様、瓦礫の下にいる数え切れない『立派に生きていた人達』の愛した自由が今脅かされた。

自由の象徴アメリカ、この『死に切れない人々』の魂の為に必ずや立ち直って欲しい。

そして忘れてはいけない

罪は必ず罰せられるのである。

 

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