@枯れ葉よ,薪よ89年秋から@
| ぼちぼち進めていた壁紙を貼ったりペンキを塗ったりと奴と私のトレーラーのビンボー |
| 内装作業も終わりに近づきやっとこさ並みのボロ家住まいに格上げとなった頃には |
| もう周りの木々も枯れ葉を落としはじめそろそろ落ち葉掻きの季節となっていた。 |
| 最初は一枚一枚手で拾うという今から思えば絵画の『落ち穂拾い』顔負けの度胸で |
| 対応していたが,秋が深まるにつれてとてもじゃないが森の落葉樹たちの総攻撃に |
| 追いつけないのは一目瞭然だった。も,とにかくスゴイのである。周りの木ももちろん |
| 裏のメープルの木なんかは人の頭のサイズほどもある葉っぱを空襲の如くガンガン |
| 落としてくれるのである。さっそくレイクという熊手のような道具を使って一週間に一回 |
| の割で落ち葉掻きをすることにした。落ち葉掻きって思っていたよりずっとずっと |
| 力のいる作業で並みの運動よりも体力を要するというのが第一の感想。 |
| 掻いて掻いて掻きまくって膝上以上まで来た落ち葉をどっりゃ〜〜〜ぁぁぁ! |
| と劇画同様力ずくで裏手の坂に押し出してやっとの思いで庭をきれいにしても, |
| 翌日にはまたもとの木阿弥でビッシリ枯れ葉のカーペット。渡米以来毎年毎年この |
| 季節になると苦労したものである。そんなこんなで初冬のような冷え込みがやってくる。 |
| このトレーラーには一般のように電力の大型ヒーターが内臓されてはいるが島という |
| 環境のせいか電気代のレートが本土よりもかなり高くて(2倍はあるんじゃないか?) |
| おわかりの通り奴と私は目もくれなかった。そのかわり義兄がキッチンとリビングの |
| 間に取り付けた薪のストーブがデンとスペースを支配していたのに期待をかける。 |
| スス黒くてなにか蒸気機関車の操縦を思わせる重い感じのストーブだったが, |
| 耐熱用のペンキで白く塗り替えたら結構モダンな感じになり窓が少なく常時暗いリビング |
| にも良く似合った。薪は他所からコード単位(需要にもよるが一冬大体3,4コードあれば |
| いいはず)で注文するか自分で供給するかで通常済ますことになっているが1コード当時 |
| 80ドルから110ドルの薪を奴と私に注文する気などは到底なく当然自分たちで供給の |
| 道のご選択に相成ったのはいうまでもない。で,その自己供給法とは・・・・・・・・・・・・・・ |
| その名も,薪拾いであった。 |
| 『自分で供給』と上に書いたが,これは本当は自分で伐採した木などをチェインソーで |
| 切り,斧で割って一から自分ですることをいうのであってその過程を飛ばしたいならば |
| 注文というのがあるという意味である。したがって『薪拾い』なんて今から思えばキャンプ |
| じゃあるまいし,何考えてんだとしか言いようがない。 |
| が,当時の経験不足の奴と私にそれを推し量る余裕などなかったのは言うまでもない |
| のである。 |
| 薪拾いかぁ〜・・・・周りには枯れ枝や太目の木の幹の破片なんかがゴマンと落ちている |
| からドンドン集めていったら冬なんて超せるじゃないの♪みんなそうしないなんて |
| 損してるな〜。などとほくそえんでいたのである。 |
| 何度も言うように,あ・ま・か・っ・た・〜 |
| 奴は当時の仕事があったので家にいなかったから薪拾いの仕事は当然私の役目。 |
| で,朝にストーブに火を入れると同時に薪を拾いに出かける。これがまさに一日仕事 |
| なのである。理由は簡単,それだけの薪が要るからである。それまで薪を要するヒーテ |
| ィングシステムなんて経験したことなかったから,一体薪がどれだけ必要でどれくらいの |
| 速さで燃えるのかを知らなかった。暖房用の薪というのはとにかく大きい目である。 |
| そうやって燃焼する速度を落としかつ燃焼温度を高めて燃費の高度を計るのだから |
| 薪拾いで集めてくるものなんて紙のように燃えてしまって30分ももたないのである。 |
| 毎日毎日一日中かけて集め回ってもトレーラーの中を温かく保てるのは奴が仕事から |
| 帰ってくる夜の間の2,3時間と朝の一時間ほどであとはストーブも消してしまって |
| 薪拾いに一日労働するのが最初の冬の数ヶ月の日課であった。家にいたって寒いだけ |
| だし。しかし道理で今から思えば1コード3/4tトラックにほぼ満載の分を3コードも4コード |
| も注文するはずである。これを薪拾いで済ませようとしたんだから仰天のひとこと。 |
| ものすごい重労働だったから,はぁはぁいいながらベルトコンベアーがあったらいいな |
| とか,『二宮金次郎よ,お前の背中の薪なんぞじゃモチも焼けねえぞ』と |
| これまた劇画風に毒づいたりしたものである。 |
| 大きな木の固まりなんぞを見付けた日にはまるで金塊がおっこちているような気分 |
| にひたったものであった。 |
| 体力の限界を感じてえーいやめじゃぁぁぁ!の境地に陥ったのが翌年の2月の中旬。 |
| 前に書いた大雪の到来がこの後しばらくしてからだったと思う。 |
| 当時の薪拾いの影響か,いまだに木の固まりや大振りの枝などが落ちてたりすると |
| 『薪=火力=暖=節約=金』の法則で密かにマークしてしまう。 |
| 今はさすがに薪は注文しているとはいえいまだに1コードずつしか頼まない奴とわたし。 |
| 最近の冬ってそんなに辛くないのよね。特別寒くならない限り灯油ストーブでなんとか |
| しのげているし。寒さにも『血が濃くなった』のか慣れてきたのかもしれない。 |
| 翌年の夏は夏でまた庭仕事で振り返れば想像を絶する挑戦をしたりもするのである。 |
| ここではあえて今書くまい(爆)。また話が前後して気が向いたら書こうかな・・・・(笑)。 |