私は移民局の係官である男の顔をじっと見た。いかにもウザそうに眉間に |
シワを寄せ,靴についたうんこを見るようにこっちを見る。 |
話し方もだんだん横柄になってくる。 |
『とにかく許可できないよ』味気もクソないではないか。完璧に奴と私に対し |
しょうむない敵対意識を持った模様。その理由がこっちで結婚したからか? |
『ナメられた』とでも思ったに違いない。黙って聴くフリをしていると, |
『ま,今回は特別に再入国させてあげるが,この再入国許可は当座のみ。 |
いいね,どちらにしても日本へ一度帰って。』とくる。 |
『一ヶ月だよ,いいね。その間に帰って。』とも。 |
はっきりいって「とっとと帰りやがれ」モードだった。おい,オヤジよ,関西人 |
怒らしてタダで済む思とんのかぁ・・?鼻毛出しながら言うなよ,おっさん。 |
|
『ここから東京の米領事館(だったと思う)当てに書類送っとくからそこでどちらの国で |
永住手続きができるかが審査されてこちらに送り返されてくるからね。 |
その時はこっちから連絡事項郵送するから,それまで待ってるように。 |
くれぐれもその間は当国の領地を出ないこと。一生再入国出来なくなるんでね。』 |
|
入るなのあとは出るなかよ。日本帰れいうてたんとちゃうんか? |
ビビらすつもりやったんかぁ!?しかしこんなのがよく働いてられるな,移民局。 |
|
一応再入国は許可されたけど帰るなりシアトルの移民局とまたいろいろ |
やりあわなきゃいけないし,信用ならんがあのオヤジが言うには一ヶ月しか |
いられない。その間に事の信憑性確かめないとね。 |
もぉ・・なんか気が重いじゃないの。 |
|
そんなこんなしているうちにカナダ国境の米移民局から事項の報告。 |
開けてみるとやはり『日本にて結婚の手続きを』云々。 |
|
どうも納得のいかない奴と私はさっそくシアトルの移民局へ問い合わせてみることに。 |
|
それがね,できないのだ・・そういう人間が必要な質問。 |
電話の向こうの声は全部録音なのである。『〇〇の期日はいつか』とかに |
対する回答しかもらえないようになっていた。 |
避けているのね,私ら移民を・・・? |
とにかくシアトルまで行ってみることにした。受け取った書類も完全装備で。 |
いつものことだが,番号札持って待つこと数時間(空港か?)。 |
やっとこさ係官の一人と話ができる。こんどはあのときの鼻毛オヤジとは |
ぜんぜん違うテキパキした黒人女性。そして言うではないか,彼女。 |
『最初の係官の審査ミスですね』といともキッパリ。 |
『わざわざ東京帰すなんて聞いたこと無いですよ。なに考えてんのかしら』とも。 |
や,やったで! |
『グリーンカードの手続きは今まで通りこの国で行って下さい』 |
とお許し(?)を得て嬉々として帰って来た奴と私。 |
|
それにしてもカナダ国境でのあの米移民局の係官の男, |
いったいどういうつもりであったのか。シアトルからの帰りに奴がいうには |
『たぶん俺らの結婚の仕方に反感もって”ちょっと脅かしてやろう” |
とおもったんだろ,あの尻の穴めが。』それが本当だとすると,結構こわい。 |
あのオヤジのために2週間右へ左へ翻弄させられたのだよ! |
今だったら名前覚えといて電話で怒鳴ってやったかもしれない。 |
|
移民局の仕事って裁判所とおんなじか? |
個人の意見仕事に持ち込むのがそんなにクールか? |
人呼ぶのに指でちょいちょいするだけで名前も呼べない程移民を |
見下げて移民局の係官か?自分の祖先も遠い昔移民だったのを忘れたか? |
|
おっさん〜っ!なめんなぁぁぁぁぁっあ。鼻毛切れよ。 |