@ついたぞアメリカ@
空港には奴が一人迎えに来ていた。 |
ゲート前に堂々と駐車違反して。 |
買ったばかりの中古のフォードエスコートで目も眩むような赤。 |
目立つやろうが・・・駐車違反。 |
いっておくがこの男,昔も今も金銭に対する執着が実に強い。 |
良く言えば節約上手の倹約派。 |
悪く言うと『ドケチ』なのである。 |
この日も駐車場にかかる小銭が惜しくてゲート前の |
荷物の上げ下ろしの場所に車を停め,きがきでなくなり |
約一ヶ月半ぶりの再会にも開口一番『走れ,捕まる』と猛ダッシュ。 |
こちらこそ会いたかったよ。ふーーーん!アホたれめぇ〜。 |
シアトルタコマ空港での感激の再会の後は一路奴の落着き先へ。 |
奴の実兄が家族と一緒にいるところでシアトルを横目にやり過ごして |
1時間ほど走る。島のうえなんだそうだ。 |
フェリーに車ごと乗り入れて下車し,船内の上の階へ上がる。 |
乗客たちが思い思いに寛いでいる。外の海の景色が抜群に見える。 |
『田舎だが住み心地ええど』とのたまう奴に『どんな家?』と真っ先にきいていた私。 |
というのも日本へ「御呼び寄せ」のお電話がかかってきたときに |
奴から兄貴の住んでる家を安く買い取ったという話を聞いていたから |
これからの新居になる場所にまぁ興味があったのだ。 |
『ん?ああ・・まあ・・見てみりゃわかる』とさっとかわされ,話はもっぱら奴のことへ。 |
ふーん,なんか怪しい。トレーラーハウスっていう型の住まいらしいが。 |
電話の向こうからの『古いけどね,最初に住むんだからこれでいい』 |
の奴の声がよみがえってくる。 |
フェリーを下船し,20分程車を走らせ着いたのがなぜか目的地の近所だった。 |
そこはとってもきれいな小さい海岸ビーチ。晴れ渡る空に雲もない・・。 |
これから会う奴の兄夫婦,その子供達のことが頭に浮かびヒューと深呼吸。 |
掃除が終わりそうなのを見計らっていたらしい。 |
『もう終わってるだろうから』ってことで今度はほんとに目的地へ。 |
折れていくだびに道の級が下がっていく・・最後にはもう砂利道だった。 |
両脇にはブラックベリーの茂みが重なり合う。その後ろはちょっとした森林である。 |
その森の中にみえてきましたよ・・トレーラー。 |
あ,あれがトレーラーハウスっていうのか・・。ハウスってどこからみても |
白いコンテナじゃないかぁ。がーーーーん!がっくし・・・。 |
『どう?』と奴。どうって聞くなーーーーーーーーーっ。 |
ほんまに金だしたんかぁ,これに。 |
いまからでも遅ないぞ・・と言いたいのをかみ殺し,『じゃ,頑張ってみよか』となんとか言い放った。 |
だってよ,私が出したお金じゃないもんな。文句言えませんわ・・,ははは。 |